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「SP音源復刻盤 信時潔作品集成」が芸術祭大賞を受賞

平成20年度(第63回)文化庁芸術祭の受賞者が発表され、参加作品部門内のレコード部門で、弊財団の作品「SP音源復刻盤 信時潔作品集成」が大賞を受賞いたしました。

本作は作曲者立会いのもとで制作された信頼に足る音源をSP盤から復刻し、作曲家信時潔の全貌を集大成した画期的なものです。CD6枚をフルに使い全7時間分の音源を収録。144頁の解説書には、信時裕子氏による客観的立場からの精細な全曲解説を、多くの貴重な図版とともに掲載。また序文として、信時潔と交流のあった畑中良輔氏による寄稿「信時潔の肖像―私的 信時潔小論―」を掲載しております。

この復刻企画は2005年夏の制作開始以来、完成までに三年余の年月を要しました。音源の調査・探索および細かい復元修復作業は、SP盤の研究家である郡 修彦氏によるものです。当初はCD5枚組の予定でしたが、途中からSP盤の発見が相次ぎ、最終的に全6枚の構成となりました。

本作の特徴として、戦時体制下における作品についても例外なく復刻をおこなっていることがあります。近代日本の芸術研究・受容において、近年では、戦争画の問題を含め作品と社会背景との関わりは避けて通れないという以上に、むしろ作品理解のための要点として認識されるように変化してきています。昨今、音楽においても戦前および戦後初期の創作について新たな光が当てられるようになりましたが、信時潔の存在は、戦争の記憶と結びつくことから総体的な理解が充分おこなわれない状態が長く続いていました。

本作が信時潔ならびに日本の近代芸術への綜合的な見地からの理解を深めるための契機となれば、まことに幸甚に存じます。

また弊財団は、歴史的に貴重なSP音源の保存・公開・伝承を目的に2007年4月に設立された「歴史的音盤アーカイブ推進協議会 Historical Records Archive Promotion Conference」(略称 HiRAC ハイラック)にも参加しております。本作品『信時潔作品集成』はこうしたSP盤復刻活動の一環として、貴重な音の文化遺産を広く後世に伝えるという弊財団の基本活動方針に沿って企画・制作したものです。

作品情報:「SP音源復刻盤 信時潔作品集成」

関連リンク

歴史的音盤アーカイブ推進協議会(HiRAC)が設立されました。(2007年5月09日)